2011年7月11日月曜日

ストラトキャスター編

「音が違うんだよね」と言われても、磁石はアルニコVのインチ径に変更し、巻線をたウレタン被覆からエナメル線に替え、巻き線径だけはメートル規格とインチ規格の違いで全く同じではなかったが電気特性はほぼ同じ、含浸は蜜蝋で行い、基本事項としてピックアップと弦の距離はノギスで測り条件を等しくし、もう出来ることがなかった。
当時、音の比較にはこちらは量産品のボディに装着し、オリジナルと比較していたのだけれど、あるとき状態を同じくするために2台同時に弦を張り替えてアンプを通さずに生音で「ジャ〜ン」とやってみると、なんかだいぶ音色が違うじゃん。
その違いを頭に入れてアンプを通すと、オイオイ、まんま出てきてる。
試しにピックアップ付きのパネルごと入れ替えてみたら・・・
フェンダーの音 醸し出してるわ、ウチのやつも。
そこで次にしたのは、できるだけオリジナルに近いボディを量産品の中から探すこと。
これは、原始的なんだけど、塗装・バフ磨きまで終わってぶる下がっている50〜100本くらいのボディを拳でノックし、鳴りの近いものを探すという作業。ところが、なかなか同質の音に巡り合わない。結局それだけの中から「これならイケる」ってのは1本だけだった。それを現場で組んでもらい比較用として使うことに。
もちろん音比較では指板の材質やパネルの厚みも裸音で効いてきていたので揃えることにした。
結局、この先は木の材質をつめる必要があるということね。
木材が楽器になるまでは乾燥のために寝かしておく時間がとても長いため、一朝一夕には変えられない。
その先量産品がどうなったか私は知らない。
そこで一段落。(そうそう、林さんは木に聴診器当ててたなぁ。)

追記:今は線材もアメリカから輸入しているんだね。これなら完成度の高いレプリカができる。でも、個人ならオリジナルピックアップ買った方が早いわ。
 

2011年7月10日日曜日

クイーン

1975年 横浜体育館
最高の位置のチケットを入手。
ところが、その席順が見当たらない。
係員に訊ねたところ、ミキサー卓が占拠している場所なので代わりに前列のど真ん中を用意してくれたとのこと。
悪い予感・・・
前から5列目あたりの、相撲で言うと「砂かぶり」。
確かに眼の前にステージ。
周りは高校生〜ハタチそこそこの娘ばっか。
男子がいないっ!
演奏が始まる...
オエッいきなり総立ち!
演奏を聴くどころじゃない!!
結局最後までコレ。
女子の尻のアップだけしか印象にない。
何しに来たんだ?
金捨てた。
 

2011年7月9日土曜日

ハムバッカーの鉄芯材料

ハムバッキング・ピックアップの普及品はふつ〜のネジ(炭素鋼)を使って作っていました。
Gibsonのコピーを作るに当たり、もうウロ覚えなんだけど金属材料の成分分析をしてもらったとき、炭素分の少ない、純鉄を使っているらしいということで、早速手配して加工した。ただこれだけでは純鉄を使った意味が無いのでアニール処理というバラバラな磁気の方向を一定方向に揃える熱・磁気加工を施し、比透磁率を上げることを行った。
これによって、若干 周波数の高い成分が出てきて、いわゆるヌケの良い音になったみたい。
ただ、ここまで手を掛けた費用対効果を考えると、正直 なんだかなぁって印象だったような・・・
(今となっては、正確な記憶がない)
それとは別に、明らかな違いがあったのは、試験的にパーマロイでやってみた場合。
これは、比透磁率が純鉄よりも桁違いに高いので弾いたとき一発でOh!ってカンジ。
クリアで歪が少ない澄んだ音色。
ただし、ディストーション全盛の当時は、この音は時代が求めた音ではなかったんで、試作だけで終わったように思う。
 
 

マハビシュヌ・オーケストラ

1973年 渋谷公会堂
ジョン・マクラフリン &
        マハヴィシュヌ・オーケストラ
怒涛のアンサンブル。複雑なリズムセクション。
初めてジョン・マクラフリン(当時はマクローリン表記)に触れたのはマイルス・デイビスの「ビッチェズ・ブリュー」「ジャック・ジョンソン」だった。今回、自らのバンドを組み初来日。
私が気に入ったのはロックバンド(フロッグ)からヴァイオリンのジェリー・グッドマンを呼んできたこと。これによって今までにないユニークなアンサンブルが生み出された。
そこへもってきて、ビリー・コブハムのカミナリ様のような常時フォルテシモ・ドラミングが加わりエライことに。
変拍子が多用されるにも関わらず、ロックスピリットを感じるド迫力生演奏。
ライブの帰り、興奮状態で渋谷駅までの坂を下ってきた。
当時のジョン・マクラフリンのトレードマークはGibson SGのダブルネックタイプEDS-1275。
日本人の体格ぢゃカッコつかないね。
 
 

2011年7月8日金曜日

ピックアップカバー3

あるとき、大音量で弾くとGibsonに比べウチのハムバッキングピックアップはハウリングが起きやすいってことが問題になった。
確認してみると、原因はカバーの共振だということが分かったんだけど、さらに観察するとピックアップ本体とカバーの間の隙間が挙動を助長しているということが判明。
さてさて、どうしたモンか・・・
当初行った処置は、カバーを被せるとき間隙にシリコングリスを充填するという処置。
確かに効果テキメン、即効問題解決ということにはなったが、じゃあ何でGibsonはハウリング起こしにくいんだ?
そこでオリジナルのカバーのハンダを外してみると「パカーン」という音と共に本体から勢い良く外れる。
これは、カバーに圧力をかけてハンダ付けしていたから外れた瞬間にこんなことが起こったってこと。
しかも、カバーの表面を観察すると表面がほんの少し凹んでいる。
ここに圧力を掛けると、カバーとボビン表面が密着し応力がかかる。この状態で本体にハンダ付けすることによりハウリングが起こりにくくなっていた。
そこで、ウチのピックアップカバーのプレスの最終工程に1工程増やし軽い凹面を作ることにした。
当時のGibsonピックアップは楽器店で遠目に見てもそれが分かったけど、今のGibsinギターに付いてるピックアップはそうなっていない。はたして別のアイデアで解決しているのか? どうなんでしょう。
 
 

2011年7月6日水曜日

パスポート

1974年 中野サンプラザホール?
クラウス・ドルディンガー率いる当時としては珍しい、ドイツのフュージョングループ。
あんまし期待しないで行ったんだけど、これがなかなかgood sound。
とにかく音響バランスが最高。
PAスピーカーに特徴があり、BOSEのスピーカー2個入の普通に売っていそうな外観。
PA用としてはかなり小ぶり。
これが、ステージの両サイドに大量にに大きな壁となって積み上げられている。
個々のSPユニットが余裕を持って出力しているので、出てくる音に無理がない。
これだけバランスの良いPAはなかなか無い。
 

2011年7月5日火曜日

ピックアップカバー 2

ある時期から、ピックアップカバーを外して使う連中が増えてきたんだけど、あれには「外来ノイズを軽減する」という立派なお努めがあった。
そのころから、ハムバッキング・ピックアップではディマジオの影響を受け、中高級品でもアルニコと共にフェライトマグネットも使うようになってきた。
磁石自体のエネルギー積はアルニコの方が大きいのだけれど、フェライト(異方性・ウエットタイプ)磁石は任意にカットできるので、ピックアップの厚みさえ許せばアルニコより強磁界の、大きい出力のピックアップが組めた。
で、当然アンプに通した音も歪み易くなる。
しかし、歪まないセッティングで音出ししたら、なんか音が荒れてるんだよね。
(奇数次高調波が多いって感覚)
これ、なんとかしたいなあ・・・
で、思いついたのが、ピックアップカバーの下処理メッキで銅を使い、そのメッキ厚で音質をコントロールしようという試み。
エレキギターのピックアップカバーでは本来、銅(合金としてではなく)は高音域の周波数特性を著しく悪化させるので使うのはタブーなのだけれど、極薄い皮膜を付けることにより「暴れた音」を調整できないか?
メッキ時間(=メッキ厚)を調整したものを何種類も作り、音出し比較してみた。
結果、音のザラつき感が減少し聴きやすくなった。そこそこコントロールできたんだわ。
しばらく、これで出荷していた時期があった。
 

2011年7月2日土曜日

Pink Floyd

東京都体育館で演った。(1972年)
それまでにないサラウンド感覚、上下の立体感。PAが完全にコンサートの演出に取り込まれている。
浮遊感すら感じる瞬間がある。きっとドラッグやってた連中がシラフでも表現できないか?と始めたことなんだろう。
面白かった。
ただ、タバコ(ひょっとして国内では違法な喫煙物?)を吸いながら演ってたのはウンザリだった。
こっちから見ると、もっと真剣にやれ!ってカンジ。バックでテープ回しながらの音出しなんで、おまえらずいぶんラクしてやんなあ・・・って印象だった。これって誤解?
(あの頃シーケンサはまだなかったと思う)

2011年7月1日金曜日

ピックアップカバー 1

私が、業界に入った頃お世話になった会社は輸出向け普及品のピックアップを製造していた。
そのころ、時代はエレキギター自体に高品質を求めるようになってきていた。
当然、ピックアップにも要求されるようになり、できなければ注文自体減ってゆく。
そんな時期に私は首を突っ込んだ。で、納品先からはオタクのは「音が悪い」と言われて始まったピックアップ人生。
はじめは、何が良くて、何が悪いのかが分からない。
そうこうしているうちに、本物のレスポールカスタムをしばらく貸してもらえる機会が訪れた。
これを、輸出用レスポールもどき+ウチのピックアップ装着ギターと比べたら・・・アナタ全然違うじゃん。
お〜っこれが、本物の音、弾き心地!
理解!!
そこから、本格的にピックアップを改良することになったのでした。
で、まずNGだったのが高音のヌケ。金属カバーを外したときと被せた場合の音質差が大きく全く話にならない。
そこで、ギブソン・ピックアップを入手。
当時、社長のツテで金属材料を分析してくれる会社に成分分析を依頼。
それまで、カバーの材料は真鍮を使っていた。
そして分析結果から分かったのは本家は【洋白(ニッケル、銅、亜鉛合金)】を使ってるということ。
その成分表を元に、日本で相当する材料を入手。
これでサンプルを作ってもらい音出ししてみると、みごとにヌケが良くなってるじゃん。やったねっ。