2011年9月27日火曜日

AriaProII SB-1000

アレンビック・ベースにインスパイアされ作ったものがこれ。
ただ、コンセプトは全く異なる。
アレンビックの回路ではピックアップの信号とダミーコイルの誘導信号を反転加算して誘導ノイズ成分を相殺。
電子回路で入力段をバッファリングするので、ハイ落ちのない素直な音色になる。
しかし、これだけだとエレクトリック・ギターとしては特徴のないつまらない音。
そこで、その信号をパラメトリック・イコライザー的な色付けを派手に施していたのが当時のアレンビック・ベースと理解。
信号経路に何段もOPアンプが入るので熱雑音?も重畳されピックアップ自体のノイズは極力抑えられてもホワイトノイズ様のノイズが乗るのは避けられない。

これらノイズを根本的に極限まで減らしてしまおうという考えで作られたのが後にBBサーキットと名付けられたSB-1000の回路。
当時はOPアンプの型番を削りプラスチックケースに入れた後エポキシ樹脂で充填し、まさにBlackBox化して出荷したのでした。BBとはBlackBoxのことです。
ピックアップのコイルはかなり巻いた。(忘却の彼方) たぶん6000T×2のハムバッキング。
この信号を増幅度0dbの差動増幅バッファに入れるんだけれど、ここでコンデンサとコイルの直列共振を利用してピークを作る。ここでは電圧の拡大という現象が起るので、実際には特定の周波数帯域では3db以上の増幅がある。
電子回路は1段のみ。回路自体で増幅はしていないので、信号に乗るノイズは極小となる。
音色の設定は営業政策上から6トーンになったけれど、私個人としては3トーンで充分だと思った。
この回路の音の特徴は、ボディと相まってとにかくレスポンスが良い。指で弾いた瞬間にボンと音が前に出る。
ピークをハイに持っていった設定ではフランジャーやフェイザー系のエフェクトを掛けた時にヌケの良い掛かり方をする。
30数年前に作ったものが未だに現行機種として販売されているのは驚きです。
私が業界を離れてから海外有名ミュージシャンが「コマーシャルベースではなく」使ってくれていたらしいのも嬉しいことでした。